お願い

小学校の校門に掲げられた「お願い」。要は開けたら閉めよ、というごく普通のマナーを期待してのお願い文だ。

が、よくわからないのはその前文。「門扉は通常閉じています」。うん、通常閉じてるよね。それがどうした?

この文章はそもそも何なのか。「お願い。出たあとは門を閉めてください」だけで十分なのではないか。

こういった文は、業界用語でいういわゆるリダンダンシー、つまり余剰性の一種と言えなくもない。これがもし逆の表現だったら‥‥例えば「門扉は通常開いています」であったなら、この文は意味を持つ。つまり普段は開いているのだが、今日は特別に閉めて行ってください」であれば、リダンダントな表現ではなくなる。

なぜわかりきった余計な文章がくっついているのかという点を考えてみると、しばしば、そこに書き手の心理状態の現れを読み取れる場合がある。

この場合の書き手は、門を閉めろという結論を言うだけでは不満なのだ。「我々は普段から門をきちんと閉じているのだ。だからお前も、そういったマナーに従って、正しい行動をとるべきである」‥‥そのように道徳的な立場を主張したくて仕方がないのである。

書かなくても済むことを心ならずも書いてしまったという場合、心の中を見透かされる恐れがあることを肝に銘じたいものだ。

(撮影場所:滋賀県草津市)

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