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発見したら1万円?

この看板、こんな意味に受け取れないか。

「無断駐車を発見した」人には、「1万円をお支払い頂く」と。

だったら、発見しても見て見ぬふりをしよう。反則金を取られてしまうから。

 

もちろん、そうでないことはわかるわけだが、読み手が善意に解釈して初めて正しい意味がわかるような文章は、やはり悪文といってよい。

「発見する」と「支払う」という2つの動詞のそれぞれが違う主語を持っているというところにこの悪文の原因がある。

さらにその大元をたどれば、わざわざ「発見する」などという言葉を使ったところに最初のとっかかりがある。

もっと簡単に「当駐車場での無断駐車には」とすれば何の問題もなかった。

しかしおそらくこの駐車場では、日々無断駐車とその発見という大バトルが繰り広げられているのだろう。そのために駐車場の管理者も、つい発見と言いたくなってしまったわけだ。胸中察するに余りあるものがある。

(撮影地:神奈川県相模原市)

大げさな表現

某私鉄のトイレ。「アラームの鳴る火災報知器」とでも言えばいいところを、「音響警報が鳴動する感知器」と表現されている。

いかにも恐ろしいことが起こるぞと言いたいのだろうか。

お役所ならありがちな表現。この私鉄にはひょっとして官僚主義が跋扈しているのか?

(撮影地:東京都目黒区、東急目黒駅)

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素朴な文章

何とも講評に困るが、小学生などにありがちな文章。

一行目を「‥‥される、」と連体形にさえすれば文法的にも正しい。一方を連用形、他方を連体形とちぐはぐだから、妙な文章になってしまうわけだ。

「意味が通じればいいではないか」と開き直られそうな気もするが‥‥。

 

(撮影地:滋賀県草津市)

たまにならいいのか

公園のトイレ。管理者の悲痛な叫びとでも言おうか。

「度々持って行かないでください」‥‥、つまり石けんを何度も失敬する人に対してのお願い文である。

ということは、たまに持って行く程度ならいいのだろうか。とても遠慮がちなお願いだ。

だが「見つけたら警察に通報」するとは言っても、それが初犯か「度々持って行く」犯人か、どうやってわかるのだろう。

簡単な文章ではあるが、ナゾを含んでいる。

(撮影地:神奈川県相模原市)

住んでいた必要

某シニア向けSNSに「旧友探し」というサービスがある。昔住んでいた地域、通っていた学校で、誰か知っている人はいないかと探す、懐旧企画である。

その後ろ向きな姿勢の是非はこの際問わないとして、中程の文章、「〜に登録するには、この地域に住んでいた必要があります」に注目したい。

ちょっと唖然とする表現ではなかろうか。

「住む必要がある」「住んでいる必要がある」ならまだわかる。過去形の「住んでいた必要」とは‥‥。

考えるに、「必要」は過去形には用いられないことばであるようだ。『てにをは辞典』にもそんな例は載っていない。

ではどのように表現するのが適切か。これがなかなか難しい。

「住んでいたという条件が必要です」「住んでいたのでなければなりません」‥‥と少々回りくどい。

いっそ、「登録できるのはこの地域に住んでいた人だけです」と言い回しを変えた方がよさそうだ。

それにしても、この素朴な表現には意表を突かれた思いだ。