誰が主人か?

Windowsのスタート画面である。

Windows使いの人は、こういう画面に何の疑問も感じることなくパソコンを立ち上げているようだ。

しかしよく考えてほしい。「ようこそ」とは誰が誰に対していう言葉か。

主人が、客に対していうのが「ようこそ(いらっしゃいました)」だろう。

この場合主人とはWindows、あるいはMicrosoftだ。そして客とは私やあなたということになる。

そうだろうか? 私は金を出してWindowsパソコンを買った。そしてそれを「使って」仕事やゲームをしている。あくまで「私」が主人のはずなのに、Microsoftの考えはそうではない。主人はMicrosoftやWindowsであり、使う人はあくまで「客」であり「従」なのだ。

徹底して、何らかの目的を達成するための使いやすい「道具」としてコンピュータを考えて来たSteve Jobsらの思想とは、まるっきり逆だということがわかる。

iPhoneやiPadが顧客満足度ナンバーワンで熱狂的に指示されている理由はそこにある。使い手の手になじむ心地よい道具としての位置づけ。

道具の使い手を無視し、いつまでも「ようこそ」と主人面を続ける過ちに気づかないMicrosoftは、ますます「客」からそっぽを向かれて行くだろう。

無理っぽい理屈

最初、なぜ「20分以上の駐車」がお客様のご迷惑になるのだろうと考えた。

他の客にとっては20分であろうが5分であろうが、そのときふさがっていれば同じこと。「20分以上」が具体的な意味を持つわけではない。

さらに考えてみると、これはどうも「お客様のご迷惑」ではなさそうだ。

長時間駐車されて、客の回転が悪くなるのが困るということなんだろう。つまりは「店にとって迷惑」ということだ。

しかしそこは客商売。客に向かってあからさまに迷惑とは言えない。そこで「他のお客様」が登場したというわけ。

なかなかに苦労が忍ばれる文である。

(撮影地:神奈川県相模原市)

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発見したら1万円?

この看板、こんな意味に受け取れないか。

「無断駐車を発見した」人には、「1万円をお支払い頂く」と。

だったら、発見しても見て見ぬふりをしよう。反則金を取られてしまうから。

 

もちろん、そうでないことはわかるわけだが、読み手が善意に解釈して初めて正しい意味がわかるような文章は、やはり悪文といってよい。

「発見する」と「支払う」という2つの動詞のそれぞれが違う主語を持っているというところにこの悪文の原因がある。

さらにその大元をたどれば、わざわざ「発見する」などという言葉を使ったところに最初のとっかかりがある。

もっと簡単に「当駐車場での無断駐車には」とすれば何の問題もなかった。

しかしおそらくこの駐車場では、日々無断駐車とその発見という大バトルが繰り広げられているのだろう。そのために駐車場の管理者も、つい発見と言いたくなってしまったわけだ。胸中察するに余りあるものがある。

(撮影地:神奈川県相模原市)

大げさな表現

某私鉄のトイレ。「アラームの鳴る火災報知器」とでも言えばいいところを、「音響警報が鳴動する感知器」と表現されている。

いかにも恐ろしいことが起こるぞと言いたいのだろうか。

お役所ならありがちな表現。この私鉄にはひょっとして官僚主義が跋扈しているのか?

(撮影地:東京都目黒区、東急目黒駅)

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素朴な文章

何とも講評に困るが、小学生などにありがちな文章。

一行目を「‥‥される、」と連体形にさえすれば文法的にも正しい。一方を連用形、他方を連体形とちぐはぐだから、妙な文章になってしまうわけだ。

「意味が通じればいいではないか」と開き直られそうな気もするが‥‥。

 

(撮影地:滋賀県草津市)