敵は町内会にあり その1

 今年、町内会の班長に(輪番で)なって、これから総会の準備やら何やら、色々と忙しくなりつつある。
 8つの班があり、先日8人の班長が集まって役員会を開き、2016年度新役員の互選を行った。
 私は事務担当の副会長という役どころである。

 この町内にきて2年半、過去2回の町内会総会に参加した。
 大半の参加者がおそらく70歳代で、たまに見る若い人を含めて平均年齢は60歳以下にはならないだろうと思われる。

 そういった古い人たちが運営する総会は、私みたいにNPOや市民運動グループの総会に慣れた人間の目からはきわめて奇妙なものだ。
 そもそも、議会の運営の仕方を知らない。
 普通、司会者とは別に議長を立てて議論の公平を期するのだが、ここでは司会者がそのまま議事進行をし、ときには自分の意見で他人の発言を遮ったりを平気でやる。
 参加者もよくわかっていなくて、「動議」が理解されないのには驚いた。新しい提案は役員の方から出すもので、一般会員から提案をしてはいけないと思っている人が何人もいるのだ。

 昨年の総会は珍妙なものだった。
 お決まりの来賓挨拶がある。
 この町内会では上部団体があって、幾つかの町内会をまとめて牛耳っているムラ組織がある。そのN町内会会長の挨拶。
 そしてこの種の組織がどこでもそうであるように、市会議員、それも自民党の議員の挨拶。
 この2人の挨拶、というより自慢話のような長広舌がほぼ1時間ほども展開された。
 そのために、肝心の議論をする時間がなくなり、予定を1時間超過してまだ決着がつかないというところで、司会者兼議長が終わりを急いで、無理やり採決に持ち込んで終わらせたというのが実情。
 もちろん参加者は不満たらたらだっただろう。しかしほとんどの人は年に一度の義理を果たしたとばかり、済んだ済んだと帰っていく。
 「あの挨拶は何だ!」と役員に文句を言ったのは私一人だった。

 そんな馬鹿げた総会を体験したので、役員になった今年は、まず「挨拶などすべてやめてしまえ」と主張した。
 それに対しては、前例踏襲を旨とする守旧派の役員から、反対の声が上がる。「N町内会長の挨拶はやめるわけにいかんでしょう、ご祝儀ももらってることだし…」。

 議員の挨拶はやめるべきだと私は食い下がる。
 特定政党の議員だけを呼ぶのはおかしいのではないか、仮にどうしても必要なら市議会の全政党に声をかけるか、毎年違う政党から呼ぶかしないと公平とは言えないだろうと主張した。
 これについてはほぼみんな納得したようで、今回議員の挨拶はなしでもいいんじゃないですか、という形でうまく納まった。

 議員を呼ぶという風習はどこから始まったのか。
 以前この町内会から市会議員になった人がいるらしい。その人の応援というのがそもそもの始まりではなかったかと推測する。
 しかしこの町内会は特定議員の後援会ではない。
 調べてみると、地方自治法第260条の2にちゃんと書いてある。

 「認可地縁団体(町内会等の組織のこと)は特定の政党のために利用してはならない」
 
 「利用する」をどう捉えるかの問題はあるが、重要なのは「特定の政党」にある。政治的には中立であるべきというのがこの「認可地縁団体」の基本なのだ。

 この第1回の役員会で、次の総会では議員を呼ばないということが正式に決まった。
 これは、前例踏襲、最大限何もしないで1年を過ごす、を行動方針としている歴代の役員会からすれば画期的なことなのである。

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