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おもてなし

焼肉店である。

注目したいのは5行目の文言。

「ほんものだけ」をおもてなし とある。

「ほんもの」とは、この場合高級な肉を意味しているのであろう。

となると、「おもてなし」は一体どうなるのか。

「もてなす」の目的語は人である。客である。お客さまをもてなすわけだが、となるとこの店では、高級なお肉をもてなすらしい。肉をもてなしてどうする?

おそらくは、高級な肉でもってお客さまをもてなす、と言いたいのだろう。だとすれば、正しくは、

「ほんものだけ」でおもてなし

とすべきではないか。

いや待てよ、「ほんもの」は肉ではなくて、客のことを言っているのだろうか。

素性のわからぬ下賤の輩ではなく、元華族といったような「ほんものの客」だけをもてなすと言いたいのかもしれない。となると我々には縁のない店。

ランチがお一人様10万円などと書いてないか、調べる必要がありそうだ。

(撮影地:滋賀県草津市)

一時利用


駐輪場看板の、この鮮やかな同語反復をどう評価すべきだろうか。

「利用できます」のところは時には別のカバーが覆うことになっていて、その場合には「利用できません」となる。

「利用できます」と「利用できません」を切り替えるアイデアはよかったのだが、頭に「一時利用」を持ってきたために煩くなってしまった。

むしろ「できます」「できません」の2つにすればよかったのだが、「一時利用はただいまできます」としたときの愛想なさに、担当者は深く悩んだのである。

かといって、「ただいま一時利用できます」とすると、「一時、利用できます」と読まれて、この駐輪場が臨時に営業しているかのように誤解される恐れがある。表現を変えて「ただいま一時利用は可能です」とすれば、反対語は「不可能です」となり、これもまた堅苦しい。

悩み苦しんだ末、担当者はままよと、同語反復の道を選んだのであった。しかし未だ、駐輪場への道はイバラの道である。

(撮影地:東京都中野区)