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「の」の意味

おなじみの珈琲用クリームだ。

意味の分からなさもおなじみ。

というのは、キャッチコピーの「褐色の恋人」。

「褐色の」を普通に修飾語として読めば、被修飾語が褐色であるという意味に取れる。つまり恋人が褐色であるということで、「茶色い恋人」ということに。

ところが、このコピーが言いたいのはそうではなくて、褐色とは珈琲のことを表わしている。つまり褐色である珈琲の恋人、褐色に対する恋人、という意味だ。

最初から「珈琲の恋人」と言っておけば紛らわしくないのに、変に詩的ぶってコピーを作ったために曖昧文になってしまった。

珈琲と限定したくなかったのだろうか。紅茶にも使えるから「褐色の」としたのか。

だったらほうじ茶やゲンノショウコにも合うのだろうか?

切れる条例

エンジンを切るのは車のキーによるのじゃないのか、条例ってやつを回すと切ることができるのか‥‥なんて意地悪な見方をしてはいけない。

「〜により○○をする」という場合の「より」には、主に原因・手段と理由・拠り所の2つの意味があるけれど、もちろんこの場合は後者と捉えなければならない。

こんな風に曖昧になったのは、言葉をはしょりすぎたからだろう。何とか短い言葉でわからせようとしたその労は多とするが、詰めが甘かった。

(撮影地:神奈川県相模原市)


わかる

文章としては必要な情報が欠けていて正しくないのだけれど、でも意味はちゃんと通じるという言葉がある。

これもそのひとつか。

まさか「飲酒運転」という人が店に入ってくるわけではなかろう。「飲酒運転をする人」「飲酒運転をしがちな人」とでもすれば正しいか。しかし文章は長く、理屈っぽくなる。

その点、この「飲酒運転 入店お断り」は潔く、伝達力がある。

(撮影地:神奈川県相模原市)

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表示義務

土用の丑の日、近鉄百貨店のデパ地下(正しくはデパ1F)で買ったうな重についていた山椒粉。袋にはこうある。

     <表示義務のある添加物は使用していません

何とも大胆、かつ正直な表示であることか。

「添加物は使用していません」と書くと、実は使っているためにウソになる。

かといって、表示義務もないのにわざわざ「○○を使っています」などと書く必要もなく、また、よけいなことを書けば消費者からにらまれる。

そこで上記のようになった‥‥のではないかとたんけん隊は推測している。

ただ、「○○使用していない」との表記は、当然「○○以外使用している」を含意する。

だからこそ「大胆、かつ正直」とたんけん隊は感心したのであった。

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保温性能

これは、ある二重構造になったマグカップの製品説明書。

二重構造になっているから魔法瓶スタイルのカップなのだろうと勘違いして買ってしまった。この説明書によると、沸騰直後の95℃の熱湯を注いで24時間後の湯温(水温?)は21℃となっている。

画面から切れてしまっているが、右上の「室温」のところは20℃と表記されていた。

95℃のお湯が、24時間後には室温とほぼ同じ21℃になっているということは、つまり完全に冷めてしまっているということにほかならない。

これのどこが「保温」なのか。

保温効力というからには、「まだこれだけ温かい」という主張が必要だ。それができないのなら、むしろ「この製品には保温能力はありません」とすべきだったのでは?